E. 注意する言葉
注意して使う言葉や表記で迷いがちな言葉を取り上げています。
大手ITスタイルガイド(Google、Microsoft、Red Hat、Apple)との違いがある場合、その旨を記載しています。
なお、GoogleとMicrosoftはスペルを参照する辞書として「Merriam-Webster」を挙げています。スペルで迷う際は参照してみてください。
- スペルはアメリカ式を優先
- blacklist、whitelist、slaveは使わない
A
abort
一般読者向けには使わず、代わりにcancel、close、end、exit、stopといった言葉を使います。
above
「上記の」や「前述の」の意味では、earlier、preceding、previousを使います。また、バージョンがより高い(新しい)意味では、laterを使います。なおAppleでは「上記の」(すぐ上にある場合)の意味でaboveの使用は可としています。
below、earlier、laterの項目も参照してください。
access
動詞の場合、できればedit、find、see、use、viewといった普段使う言葉にします。
allow
「<製品名や機能名> allows you to <動詞>」という無生物主 語の構文ではなく、できるだけ「You can <動詞>」の構文を使います。
and/or
表などでスペースが限られている場合を除き、使用はできるだけ避けます。内容に応じて、andやorのみ、「A or B, or both」のような表現を使います。
appendixes(✕ appendices)
appendixの複数形はappendixesとappendicesの2つがありますが、「appendixes」とします。ただしMicrosoftはappendicesとしています。
B
back end、back-end
名詞の場合は「back end」と2語、形容詞の場合は「back-end」とハイフンありの1語とします。ただしGoogleはbackendと1語としています。
front endの項目も参照してください。
back up、backup
動詞の場合は「back up」と2語、名詞または形容詞の場合は「backup」と1語とします。
backward compatible
「backwards」ではないので注意してください。なおRed Hatでは「compatible with earlier versions」という書き方を勧めています。
below
「下記の」や「後述の」の意味では、 laterやfollowingを使います。また、バージョンがより低い(古い)意味では、earlierを使います。ただしAppleでは「下記の」(すぐ下にある場合)の意味でbelowの使用は可としています。
above、earlier、laterの項目も参照してください。
blacklist
人種的偏見が助長される恐れがあるとされるため、使用しません。言い換えとしては「blocklist」や「denylist」があります。なおAppleでは「block list」や「deny list」と2語としています。
graylistとwhitelistの項目も参照してください。
Boolean
一般的には最初を大文字にしますが、プログラミング言語の型を記述する場合はその言語の表記に合わせます。
built-in
「内蔵の」や「組み込みの」という 形容詞の場合、「built-in」とハイフンありの1語とします。
C
canceled、canceling、cancellation
動詞cancelの過去形と過去分詞形はcanceledとcancelled、ing形はcancelingとcancellingとそれぞれ2種類あります(前者がアメリカ式、後者がイギリス式)。lが1つの「canceled」と「canceling」とします。ただし、名詞cancellationはlが2つです。
cell phone、cellular phone
cell phoneやcellular phoneではなく「mobile phone」を使います。
check
「チェックボックスにチェックマークを入れる」という動詞としては、checkではなくselectを使います。
checkboxの項目も参照してください。
checkbox(✕ check box)
「checkbox」と1語で表記します。なお、checkboxの選択と選択解除に関する動詞として、GoogleとMicrosoftは「select」と「clear」、Appleは「select」と「deselect」を使うとしています。
choose
「選ぶ」という動詞にはselectやchooseがあります。selectはチェックボックスの選択など、やや限定的な状況で使う一方で、chooseは一般的な「選ぶ」を指す状況で使えます。特にselectを使うケースについては、selectの項目を参照してください。
click
マウス操作に限って他動詞として使います。「click on <物>」という表現は使いません。マウス操作でなければ、文脈に応じてselectやtapといった動詞を使います。
また、左クリック、右クリック、ダブルクリックという動詞はleft-click、right-click、double-clickとハイフンありの1語とします。
client/server
「client/server」とスラッシュで区切ります。間にスペースは入りません。
combo box(✕ combo-box)
「combo box」と2語とします。なお、Red Hatはcombo-boxとハイフンありの1語としています。
command line、command-line
名詞の場合は「command line」と2語、形容詞の場合は「command-line」とハイフンありの1語とします。
crash
「突然停止する」という動詞です。crashの使用は避け、ハードウェアであれば「fail」、ソフトウェアであれば「stop responding」といった表現を使います。
D
deselect
「チェックボックスからチェックマークを外す」という動詞としては使いません。この場合、deselectではなく「clear」を使います。ただしAppleでは使用するとしています。
checkboxの項目も参照してください。
desire
「〜したい」という動詞としては、desireではなく「want」を使います。
DevOps
developmentとoperationsからできた言葉で、Oが大文字である点に注意してください。
dialog(✕ dialog box)
UI要素のダイアログは「dialog box」ではなく「dialog」と呼びます。なお「dialogue」という形は「(人間同士の)対話」を指す場合に使います。
directory
一般ユーザー向けドキュメントの場合、問題なければ「folder」とします。
disable、disabled
UI操作が関連する場面で、動詞disableや形容詞disabledは使えます。しかし一般ユーザー向けでもっと文脈に合う表現があれば書き換えます。例えば、動詞なら「deselect」、「turn off」、形容詞なら「inactive」、「not available」、「unavailable」といった言葉です。
enableの項目も参照してください。
display
自動詞ではなく他動詞として使います。例えば「The Login window displays.」ではなく「The Login window is displayed.」です。自動詞であればappearを使います。例えば「The Login window appears.」です。